多可桧について

多可町産桧を有効活用するために必要な「製材」と「乾燥」

多可町産桧は、林業家による気の遠くなるような地道な積み重ねにより、付加価値の高い木材として愛されてきました。
ただし、多可町の山に良質の桧が育っても、それを有効活用するしくみがなければ宝の持ち腐れにすぎません。
そこでわたしたち「多可桧屋」が取り組んできたのは、多可町産桧を地産地消するための仕組みづくりです。地元の林業家と共同し、多可町の山で切り出した多可町産桧を直接仕入れるルートを開拓するとともに、仕入れた多可町産桧を地元で使うために「製材」と「乾燥」を自社で行っています。

製材とは

「製材」とは、丸太を角材や板に加工する作業のことです。伐採した木材に製材加工を施すことで、建材として使える状態になります。「多可桧屋」では、多可町に拠点を置く太田工務店株式会社の「製材事業」に特化した部門として多可町産桧を専門に扱っています。

乾燥の重要性

さらに多可桧屋では、多可町産桧の良さを最大限に引き出すために「乾燥」工程にもこだわってきました。山から伐り出した状態の木材は「生材(なまざい)」と呼ばれ、たくさんの水分を含んでいます。生材は乾燥が進むなかで変形したり収縮したりするため、そのままの状態で建材として使うと不具合が生じます。そこで必要となるのが「乾燥」工程です。多可桧屋では「低温乾燥施設」を建設し、自社独自の「超低温乾燥技術」を駆使することで、多可町産桧を最良の状態で使えるようにしています。

多可桧屋が誇る「超低温乾燥技術」

伐採した生の木をどう乾燥させるかによって、材料としての質が大きく変わってきます。なかでも「含水率」(木材に含まれた水分の割合)の調整は、国産桧の質を決める重要な要素のひとつです。わたしたち多可桧屋では、伐採後の丸太の状態で2週間、20~30℃の環境で超低温乾燥を施すことで、含水率を約18パーセントにまで落とします。次に製材をかけたあと、再度、乾燥庫に戻し、18パーセント以下の指定の含水率に合わせていきます。桧を超低温乾燥にかける期間は合計4週間。手間もコストもかかりますが、この超低温乾燥によって油の乗りを犠牲にすることなく、桧本来の美しさや香り、強度を持ち合わせた産材の生産が可能となりました。地元で育った良質の桧を仕入れ、地元で使える状態に加工する――多可桧屋はこのすべての工程を自社で管理することで、多可町産桧の魅力を最大限に引き出しています。

多可町産桧の良さに磨きをかける「超仕上げ」

多可桧屋では、さらに乾燥後のひと手間も惜しみません。山から切り出した桧を製材・乾燥したのち木材加工を施すことで、建材として使える状態にはなります。しかしその状態ではまだ木肌に粗さが目立ち、多可町産桧特有の味わい深い手触りとはいえないのです。そこで必要となるのが「超仕上げ」です。専用機で木材の表面に鉋(かんな)処理を施すことで、木肌に光沢が生まれ、化粧面として魅せる桧に仕上がります。海外の木造建築の現場では、木材に鉋(かんな)をかける発想はないようです。この日本ならではの技術力、最後のひと手間を惜しまない日本の職人技が生み出す美しい多可町産桧を〝魅せる化粧材〟〝魅せるインテリア部材〟として使うことで、住宅や空間デザインの付加価値を高めることができるでしょう。

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