多可桧について

多可桧について

多可桧とは、山の管理が行き届き、
良質な桧が育つ「兵庫県多可町」

兵庫県の内陸部に位置する多可町は豊かな自然にあふれ、昔から天然の桧が生育する地域として知られてきました。また、長年にわたり、林業家が山を丁寧に管理し、育ててきたからこそ、良質の国産桧が育つ産地として維持されてきました。
手塩にかけて育てられた多可町産桧には、年輪幅が均等でしまっていることが特長として挙げられます。
これは桧の生長に必要な環境が長年にわたり、適切に整備され続けた証拠です。

多可桧屋が扱う桧/「香り」と「木肌」

わたしたちが扱う多可町産桧は一般の国産桧と同様に強度や耐久性に優れているのはもちろん、 何よりの特長は「香りの良さ」と「木肌の美しさ」にあります。

香りの良さ

昔から桧は風呂(浴槽)や酒器の材料としても使われてきたように、桧特有の香りは多くの人びとに好まれてきました。どこか気品を感じさせる桧の香りの成分(カジノール類)にはリラクゼーション効果のほか、防虫の作用があるとされます。
この桧の芳香を引き立てる秘訣――それが多可桧屋独自の「超低温乾燥技術」にあります。
従来の天然乾燥(自然な状態で保管する方法)で水分を抜いた場合、桧に含まれる油分にバラつきが生じ、香りの品質も不均一になる傾向がありました。それに対して多可桧屋の技術で超低温乾燥を施した場合、油分が均等に保持されて、桧全体で香りが引き立つようになります。

木肌の美しさ

木肌の美しさも同様に、超低温乾燥技術のなせる業といえるでしょう。超低温乾燥で保持された油分により、磨き込まれた木肌の光沢がさらに増すのです。ピンクがかった美しい木肌の味わいは見る人、触る人を魅了することでしょう。さらに油分によって木肌に汚れが浸透しにくく、衛生的に使える利点もあります。

日本の桧と大工の技術力

神社仏閣を支えてきた「日本の桧」

高級建材として使われる日本の桧(ヒノキ)は住宅用だけでなく、古くから神社や仏閣を建てるための木材としても重宝されてきました。
たとえば世界最古の木造建築として知られる奈良の法隆寺や、2019年に開山1300年を迎えた奈良の薬師寺も桧造りです。法隆寺の塔は1300年以上、法隆寺の塔(東塔)は1300年近くにわたり、朽ちることなくその姿を現在までとどめてきました。
なぜ桧が神社仏閣の木材に適しているのでしょうか?
理由のひとつは「耐久性」です。国産の桧は伐採後の200年にわたって強度が増していき、その後、1000年をかけて少しずつ弱くなっていくとされています。「桧は1300年経っても削ればよい香りが立ち、使うこともできる」。寺院の修理や改築を手がける宮大工の言葉です。木材の中で屈指の耐久性、強度を誇るのが日本の桧なのです。

「魅せる化粧材」としての国産桧

しかし桧が神社仏閣に適している理由は強さだけではありません。同じく重視されているのが「美しさ」です。
白に近い淡紅色の木肌はきめが細かく、磨き込むほどに光沢が増していきます。鉋(かんな)がけをした後の木肌は鏡のように輝き、景色がうっすらと映り込むほど。表面の手触りにも味わいがあり、見る人や触れる人の心をやさしく包み込みます。
さらに香りの良さも桧の特長のひとつです。特有の芳香には、気分を落ち着かせる効能や防虫の作用があるとされています。
白さと光沢、そして香気……赤みを帯びた杉よりも、白木で見た目にも美しく、香りも良い桧のほうが、神仏を祭る建物にふさわしいと考えられてきたのです。事実、日本書紀にも「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい」と記されています。

その魅力を引き立てる「日本の技術力」

このように神仏に近い場所で使われてきた日本の桧は、高級住宅の「魅せる化粧材」としても用いられてきました。なかでも手に触れる場所、目に見える場所など、質の高い部材が求められる箇所の化粧面やインテリアとして国産桧が好んで使われるのです。
さらに家具や建具、曲げ物、彫刻などの木材としても、日本の桧は広く重宝されてきました。

そんな国産桧の魅力を際立たせるために不可欠なのが「日本の技術力」です。
木は日のあたり具合で生育が異なるため、生えていた向きや年輪、そりなどの状態をもとに、適材適所で使わなければなりません。そのためには一本一本の木を見極め、木目や歪み、曲がりといった木材の特性を活かした木組みが必要となります。
昔ながらの「伝統工法」を守り継ぐ日本の大工職人は、まるで一流のシェフが素材選びに慎重になるように、木を見て触れただけでその特性や違いを見極めます。「木を知り、木を見、木の特性を活かす」――手仕事にこだわりと誇りを持つ伝統工法の匠だからこそ、国産桧の美しさを最大限に引き出すことができるのです。
加えて高品質の「道具」も日本の技術力を支えてきました。鋸(のこぎり)、手斧(ちょうな)、鑿(のみ)、鉋(かんな)……日本の刃物の切れ味はいずれもピカ一で、腕利きの大工の手仕事を助けてきました。
だから大工は道具の手入れを惜しみません。丁寧に扱われた道具と、それを扱う職人の妙技――山から伐り出されて第一の生を終えた桧は、日本の技術力で第二の生を吹き込まれ、神社仏閣や住宅を支えながら悠久の時を刻んでいきます。

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